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さようなら、371系

来月の御殿場線80周年のイベントを最後に、JRの「ロマンスカー」として長年活躍して来た371系が引退する事が決まりました。
371系というと大方のヒトには「何それ」になるかと思います。小田急ロマンスカーの「あさぎり」に使用されて来た、JR側の車両といえば何となく分かる方も居るかと思います。

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(新宿駅にて)

バブルの最後の1990年に搭乗したこの列車は、当時人気を博していた100系新幹線のデザインを踏襲し、展望車に二階建てのグリーン車が連結され、グリーン車ではシートサービスに加えて液晶テレビも付いた非常に豪華な設備を誇っていました。

しかしながら、バブル崩壊に加えて御殿場線の高い特急料金が仇となり利用者は低迷。
もともと静岡県内へのロマンスカー利用者は小田急の沿線の利用者か、東海道線の普通列車と同料金で速くて快適な特急を利用したいという需要がメインだったところに・・・。
「沼津まで乗車すると、東京から三島までの新幹線と殆ど変わらない料金設定」は利用者に受け入れられる事無く、伊豆半島自体の旅行客の低迷にも重なりどんどん利用者は減って行きました。
御殿場アクセスに至っては、小田急箱根高速バスと殆ど変わらない所要時間で、大きく違う料金。今でもそれが受け入れられているのか、疑問に感じています。

元々「あさぎり」は御殿場線ではなく身延線の沿線(といっても若干無理は有りますが)の朝霧高原から名付けられ、開業当初は富士宮への乗り入れも視野に入れられていたそうです。
結局それは小田急の20000系の臨時列車でただ一度だけ実現しましたが、ロマンスカーの乗り入れもかなわず、ゴルフ場を除いて富士山麓から小田急グループ自体も撤退。富士山麓に2つ有った遊園地も日大とプレミアムアウトレットへの転身となりました。

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(東海道線の吉原ー東田子の浦間にて)

371系は朝晩は浜松ー三島間でホームライナーとして使用されていました。
なんせ310円でロマンスカーの車両に乗れるのですから、お得感の有る列車でした。
御殿場線の景色も良いですが、東海道線の上りの興津ー富士間では真正面に富士山を望み、展望席の威力が最大限に発揮される区間でもありました。
意外に良かったのが夜景で、缶ビールやハイボールを供に夜の東海道線の景観を楽しむのも、また楽しみの一つでした。原ー吉原間の直線区間では、遥か遠くに光る対向列車がぐんぐん近づいて来る迫力が楽しめたほか、沼津や富士のような大きな駅に入る瞬間もなかなかの景色でした。

371系と20000系が、まだ日本経済に余裕が有り、日本に夢が有った最後の時代の車両だったと思います。
その数年後に登場した373系やEXEからは、機能重視で豪華な設備は全て割愛され、非常に味気ない車両となりました。そして、新幹線の300系も・・・。
EXEに至っては箱根アクセスのロマンスカーのシェア低下の戦犯とも呼ばれていますが、私もEXEがきっかけでロマンスカーを利用しなくなりました。LSEやVSEと同じ料金払うの、今でも悔しいですし。

そしてその頃からジョイフルトレインという言葉も耳にしなくなり、ブルトレの廃止や食堂車の廃止など、日本における鉄道旅行の価値は大きく下がったような気がします・・・。

まだ夢や希望の有った時代の思い出の車両が消えて行くのは寂しいですが、
またいつの日か、当時のような明るい世の中が戻り、旅を楽しむような列車が帰ってくる事を願います。
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